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私はなぜフジXマウントに一本化したのか

P2JP4893
Fujifilm X-Pro2
XF35mmF1.4 R
ƒ/2.8 35.0 mm 1/30 ISO2000 Flash (off, did not fire)
(Photoshopにて左右反転)


この話はいつかまとめて記事にしようと思っていたんですが、どうもうまく言葉にまとめられない気がしてズルズルと先延ばしにしてきました。
なぜ一眼レフをやめて富士フイルムのミラーレスに一本化したのか、というお話です。
いまでもうまくまとめられるかわかりませんが、やってみましょうか。


○重さにうんざり

まずはいうまでもなく、重さの問題です。
いままで散々話題にしてきたのでもう多くは語りませんが、ごく簡単に比べてみてもこんなカンジです。
カメラ1台+標準ズーム+望遠ズームの組み合わせで比べてみると

1DX(1.5kg)+EF24-70mmF2.8L2(800g)+EF70-200mmF2.8L2(1.5kg) 全部で3.8kg

X-Pro2(500g)+XF18-55mm(310g)+XF50-140mmF2.8(1kg) 全部で1.8kg


半分以下の軽さは圧倒的です。

なぜ軽いのか。上のたとえはCanonフルサイズのシステムと比べているので当然かもしれませんが、たとえばフジと同じAPS-CのPENTAXのK-3でシステムを組んだとしても、やはりフジよりは重いはずです。
それは、フジ以外のマウントが、(一眼レフとミラーレスという違いはあるにせよ)まずフルサイズでの使用を前程としているからです。フルサイズでの使用を前程とし、APS-C「でも」使えるというマウントでは、やはりレンズはフルサイズの大きさになってしまいます。大は小を兼ねるというわけですね。
それに対し、後発のフジXマウントは、APS-C「だけ」の使用を前程としています。言ってしまえば
本気のAPS-Cレンズは、フジXマウントだけ
なのです。
本気のAPS-Cレンズ群で軽いシステムを組める、これはフジに移行する大きなモチベーションでした。



DSCF4848
Fujifilm X-Pro2
XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR + 1.4x
ƒ/11.0 230.4 mm 1/500 ISO200 Flash (off, did not fire)




○カメラの性能で写真を撮ってはいないか?

さあ、ここからは主観的な話なので説明するのが難しくなってきますよ(笑)。

PENTAXのKシリーズは出てくる絵も、本体のデザインもかなり気に入っていました。それでもやはり、作品として仕上げるにはRAW現像が前程でしたが……。
そのPENTAXを手放すときの決定的な理由が「動体AF追尾性能」でしたね。
そこから再びCanonの1DXに戻ってしばらく写真を撮ることにしたんですが、久しぶりに手にした1DXは素晴らしい性能で、AFボタンを押したその瞬間にピントはズバッと合います。カメラの性能がこちらの反射神経を上回っているんじゃないかと思えるほどです。
でも、なぜか楽しくない自分に気付いたんですね。

もちろん、思った瞬間に写真が撮れることはとても大切で、そうじゃないときは大きなストレスを生むわけなんですけど……仕事のときはそれでいいんです。いわゆる「作業」「業務」として写真を撮るんでしたら。
ある程度の慣れとそこそこの腕があれば、1DXがあれば瞬間を押さえることは誰にでもできるんですね。
でも、そもそもの初心に立ち返ってみたとき、誰だって撮れるような写真を量産することが、カメラマンになった目的だったのか?
俺が撮ってる写真は、カメラのおかげで撮れたにすぎないんじゃないか?
野鳥を撮るときも、そこに鳥が来たから反射的にファインダーに捉えてシャッターを押してるだけのように思えてきて、なにかつまらなくなってきちゃったんです。



DSCF4510
Fujifilm X-Pro2
XF90mmF2 R LM WR
ƒ/4.0 90.0 mm 1/1000 ISO640 Flash (off, did not fire)




○一眼レフで撮ることは、迷惑?

仕事で幼稚園に撮影に行くことが何度かあったんですが、最近のお子さんたちは普段親御さんに写真を撮られることに慣れてる子が多いです。カメラを向けるとすかさずポーズしてくれたり、撮って撮って、とこちらを引っ張ったりします。
しかし、そんな子だけではないんですね。
なかには露骨に嫌がったり、こちらをにらんでくるような子もいます。
もちろん、それは単に、知らないおじさんにカメラを向けられることが嫌、ということなんだと思います。でも、それだけなんでしょうか?

例えば街中でスナップを撮ろうとしたときに、大きなフルサイズ一眼をさっと構えて撮ろうとする姿って、ちょっと違和感があるとは思いませんか?
写真を撮ることを英語で「SHOOT」と言いますが、文字通り銃を構えて撃つような、そんなしぐさに近いものがありますから、向けられた方はちょっとぎょっとすると思います。
(もちろん、昨今のプライバシー問題はありますが、それだけじゃなく、という意味です)
大きな一眼レフカメラを顔の前に構えて写真を撮るということは、「おまえをSHOOTする!」という威嚇にほかならないんじゃないか、と俺には思えるようになったんです。

もちろん、それが「ここにカメラマンがいて、撮ってます、仕事してます!」と周囲にアピールする効果を生むこともあります。それが求められている場面ならそれでいいんですけど、例えば子供の自然な姿を撮りたいとき、その威圧感が邪魔になります。だとしたら、動物を撮るときだってそうなんじゃないでしょうか。
レンズを向けられたとき、動物たちは思った以上にカメラマンのことを意識してます。カメラマンの放つ「殺気」のようなものを関知するのかもしれませんが、黒くて大きなものを顔の前に構えた人間がこちらを狙ってる!という事実だけで緊張してしまうと思うんです。

野生動物を撮ることとスナップ撮影をすることに、そんなに違いはないのかもしれません。人々が生活する街中か、動物たちのいる自然の中か、場面は違えども、どちらでもカメラマンは異物であり、乱入者です。だったらそのの存在はさりげなくあるべきなんじゃないでしょうか。
不自然な乱入者であればこそ、せめて物々しい出立ちはやめて、迷惑にならないように撮影すべきなんじゃないでしょうか。その方が結果も絶対にいいものになると思うんです。



DSCF3376
Fujifilm X-Pro2
XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
ƒ/10.0 400.0 mm 1/200 ISO800 Flash (off, did not fire)




○手にする道具は気に入ったものを使いたい

これはもうさらに主観的な問題なんですが……富士フイルムのカメラを使うのは、なぜか楽しいんです。
いままでCanon、OLYMPUS、Ricoh、PENTAX、SIGMAなど、各社のデジカメを使ってきましたが、富士フイルムのXシリーズの満足感が最も高いものでした。
モノとしての質感もそうですし、アナログダイヤルを基本とした操作系も、もちろん本体とレンズのデザインも、しっくり来るしいつまでも手にしていたいと思えます。
そして写りはホントにいい。よく「フジの色」なんて言いますが、色だけに限らず写真としての空気感、解像感など、素直に「いいなあ」と思えます。
もちろんまだまだ発展途上で至らないところは多々ありますが、富士フイルムという会社が信頼できて、今後必ず改善されると思えることも大事です。富士フイルムXシリーズの商品開発コンセプトとユーザーサービスが、写真家を裏切らないモノであると思えるからこそ、現時点での欠点はとりあえず目をつぶることができます。だからこそストレスにならないんですね。
こちらからの一方的なラブコールではありますが(笑)カメラとはただの道具ではなく、写真家にとって生活を託す相棒であり、自分の表現を具現化してくれる大事な分身でもありますから、その信頼感こそ大切にすべきものなのです。



DSCF4590
Fujifilm X-Pro2
XF35mmF1.4 R
ƒ/5.6 35.0 mm 1/500 ISO200 Flash (off, did not fire)




長くなりましたが、そんなわけで俺はカメラを全て富士フイルムにチェンジし、毎日肌身離さず持ち歩く生活になりました。
(余裕があればもちろん複数マウントを所有しておきたいのはヤマヤマですが……ギリギリでやってますので(笑))
気に入った相棒だからこそ、これからもなんとかだましだまし、動きモノもこれで撮っていきたいと思っております。
長かった機材選びの旅も、ここらで終わりとなったわけですね。俺自身もかなりホッとしてます(笑)。


テーマ: FUJIFILM デジカメ | ジャンル: 写真

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2020/05/28 (Thu) 19:10 | # | | 編集

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