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冬の北海道の動物撮影<シマフクロウ編>

冬の北海道撮影旅行、その2です。

6日、根室の昭和の香り高い(笑)ホテルに一泊したあと、7日はいよいよ羅臼に移動しました。根室から羅臼はだいたい140キロ。普通に走ればまあ3時間、国後島を右手に見ながら海岸沿いの気楽なドライブなはずです。
当日の根室は快晴。道路も完璧に除雪されていて、まさかあんなことになるとは想像もしませんでした。

雲行きがおかしくなってきたのは、羅臼町の隣町、標津町(しべつちょう)に入った頃でしょうか。あ、雪が降ってきたなあ、と思ったらみるみるうちに吹雪に(笑)。海岸沿いながら峠道になるところでは、猛吹雪状態でまたもやホワイトアウトです。
さすがに一般道ですから、道東道のような恐怖のドライブにはなりませんでしたが、それでも充分怖い思いをしながら羅臼のホテルに到着したのはまたもや周囲が暗くなってからでした。その夜は、ホテルの人も「こんな猛吹雪はちょっと記憶にない」というくらいの状態で、降雪と強風でホテルから1歩も出られませんでした。ちょっとコンビニまで、と出かけても遭難しそうなほど(笑)。いや、冗談じゃなくホントにそんなカンジで、素泊まり予約の俺は夕食もとれず、仕方なくルームサービスのおにぎりでその夜は寝るしかありませんでした。

翌8日も朝から吹雪。羅臼港あたりまで出かけてはみましたが、視界が悪くてとても撮影できる状態じゃありません。仕方なく宿に戻って午後はゴロゴロするしかありませんでした。
夜になってようやく天気も回復してきたので、電話予約していた「シマフクロウのやって来る宿」に出かけることができたというわけです。

その宿(人が多くなりすぎてキャパオーバー気味だそうなので、名前は伏せます)は羅臼の海岸道路からちょっと入ったところにあり、目の前を流れる小川のいけすにシマフクロウがやって来るんだそうです。いけすのところは環境庁から許されたギリギリの光量でライトアップがされており、カメラマンは宿の中から希少なシマフクロウを撮影できるというわけです。
ただし、俺は宿の宿泊予約が取れず、ビジター料金を払って撮影させてもらいました。当然、屋内の快適な撮影場所は宿泊客優先。ビジターは川沿いに放置してあるマイクロバス(吹雪による雪だまりのため、ドア閉まらず)の中からの撮影になります。

凍結したバスの窓をお湯をかけて溶かしたり(俺がやりました)苦労をしてポジションを確保したのが夜6時過ぎくらいだったでしょうか。そこからが長かった(笑)。
バスの中のビジターは俺を含めて3人。見知らぬ同士でしたが、延々とフクロウを待つ間にいろんな話をして、すっかり連帯感が生まれていました(笑)。ただし、暗いうえに全員上着のフードを深く被って、視線はフクロウがやってくるいけすに向けられていましたから、顔も覚えていないし名前も名乗らずじまい、という一期一会の夜でしたが。

そんななか、姿を見せない幻のシマフクロウを待ち続けること8時間。完全防寒でもさすがに手足の寒さが限界に近づいてきた夜半過ぎ、音もなくそれは飛来しました。
北海道に140羽しか残っていないといわれる絶滅危惧種、フクロウの中で最大と言われるシマフクロウです。


機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/200 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




シマフクロウは、いったんいけすの上の木の枝に止まって、その後やおら地面に下り立ちます。その際全く羽音はありません。実はフクロウ類の中では、シマフクロウだけは少し羽音を立てるという話がありますが、少なくともこちらには全く聞こえませんでした。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/200 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




ライトアップされているとはいえ、薄暗いこの環境ではシャッタースピードを稼ぐことは難しいです。ISO12800まで上げてもなんとか絵になる1DXだからこそ撮影できた写真と言えます。しかも極低温で長時間待つという、撮影条件としては、最も厳しいテストに近いものありますね。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 10000
露出: 1/200 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




さすがにシャッタースピード1/200では、羽ばたきはブレてしまいますが、それでもこのワンショットのために1DXを入手した甲斐があったと思える1枚です。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 8000
露出: 1/200 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




無事魚をゲットして飛び立つシマフクロウ。この宿では最大5羽のシマフクロウが一度に訪れたことがあるそうですが、この夜はこの1羽のこの1回だけでした。まさにワンチャンス。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 8000
露出: 1/200 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




翌日の夜も、懲りずにチャレンジしました。翌日は運悪く中国人団体様(笑)が宿を訪れていましたが、早目に宿に到着したおかげでなんとか室内の撮影ポジションをゲット。それにしても中国人のみなさんの機材は凄かった…全員1DXにロクヨン、でした(笑)。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/50 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




この日もフクロウがやって来たのは終了時間間近の夜半過ぎでした。さすがの中国人団体様も、このときばかりは静かに辛抱強く待ってましたね(笑)。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/500 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




いけすの魚を目差して飛びかかる瞬間。いけすも氷が張ってしまうとフクロウが魚を捕れないので、宿のおばさんがこまめに世話をして、大変そうでした。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/500 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




広げた翼が美しい。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/400 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




魚をゲットすると、毎回川上方向へ飛び去っていきます。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/400 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM




最後にもう1枚。美しすぎます。

機種: Canon EOS-1D X
ISO: 12800
露出: 1/400 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 400mm
フラッシュを使用: いいえ
EF400mmF2.8L IS II USM



この姿を撮影するためだったら、何時間でも待っていられます。すっかり野生のシマフクロウに夢中になってしまったのでした。またいつか必ず撮影に行きます。そんな羅臼の夜でした。
寒かったけどね〜!

テーマ: 動物の写真 | ジャンル: 写真

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