セントメリーのリボン

セントメリーKK


さきほど地元吉祥寺の啓文堂書店に行ったところ、光文社文庫の新刊としてこんな本が出てて驚いた。俺の敬愛する作家・稲見一良(いなみいつら)氏の代表作『セントメリーのリボン』である。
1993年、新潮社から初出したこの作品は、稲見氏の4作目の作品で、前作『ダック・コール』で山本周五郎賞を受賞し、満を持して発表した力作だ。本作も第12回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞を受賞している。

俺が稲見氏の作品と出会ったのも『ダック・コール』で、続いてこの『セントメリーのリボン』『ダブルオー・バック』『猟犬探偵』と読み進んだ。もうこの4冊は、どれを取っても傑作。未読の人はだまされたと思って読んでいただきたい。泣きます、どれでも。泣けます、男なら。

稲見氏の作品を貫くテーマはシンプルだ。昔ながらのハードボイルドのスタイルを踏襲しながら、権力や暴力、不正を働く者にはあくまで厳しく強く、弱者や子供にはあくまで優しい。厳しい現実社会で悪戦苦闘する主人公を描きながら、小説世界ならではの夢やメルヘンを忘れない。大人の男の厳しさと少年の夢を一つの作品のなかに同居させるマジックに、小説の醍醐味を感じてしまうのだ。

『セントメリーのリボン』は短編集ながら、稲見氏のそんな作風が極まった作品だと言える。初めて稲見作品に出会う人には最適な作品と思う。どういうきっかけがあったのかは知らないが、今回再版してくれた光文社には大拍手を送りたい。願わくば今後も、稲見作品の再版を続けて欲しいものだ。

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コメント

うぉぉ。新刊になってたですか?
探してましたわよ。
いまもう、ほとんど廃刊なんすよね。
ナイス情報

2006/03/13 (Mon) 23:38 | hibana #- | URL | 編集

セントメリー、ダックコールも持ってるのですが、いまひとつ記憶が..
一方、ダブルオーバックは墓まで持って行きたい名著だと思います。僕も。

2006/03/14 (Tue) 00:08 | 長太郎 #- | URL | 編集

女性でも泣けまつか?
てか、作家さんをあまりに知らなくて反省。
読んでみまっす。
『時間の教科書』もまだ手付かずなのですが……。

2006/03/14 (Tue) 09:22 | ゆきえ #- | URL | 編集

>hibanaちん
ううむ、キミはえらい。
ホント、最近の本は油断するとすぐ廃刊になっちゃうから、おいそれとブックオフにも持っていけないよな(笑)
>長さん
ダブルオーバック、いいよね。
セントメリーもこの際読み返してみよう。
>ゆきえ
こころが酒で濁ってなければ泣ける(笑)
『時間の教科書』もよろちくね。

2006/03/14 (Tue) 15:44 | jojo #Wa8vY8KE | URL | 編集

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