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フォーカスブラケットによる被写界深度合成

先日、X-T2のファームウエアのアップデートがありましたね。今回はVer.3.0からいきなり4.0へというメジャーアップデートでございました。
もちろん、最も注目を集めるのはX-H1並みのAFアルゴリズムアップデートだと思うんですが、今回はあえてこちらに注目してみました。
それは、”フォーカスブラケット”機能です。いままでもブラケット機能はいくつかありました。フィルムシミュレーションブラケット、ISOブラケット、AE(露出)ブラケットにホワイトバランスブラケット等々。要するに、1回のレリーズで特定の設定だけを変化させていくつか撮影する機能ですね。それに今回、フォーカス位置をずらしてブラケット撮影をする機能がプラスされたわけです。

いままでのブラケット撮影機能というのは、要するに「どれがいいかあとで検討する」ための機能でした。ひとつの設定に決めきれないときに、ブラケット機能でいくつかのパターンを撮っておいて、あとでどれがいいか決められるのが便利だったわけです。しかし、今回のフォーカスブラケットではそれが違います。ピント位置をずらした数枚の写真をあとから全て合成することで、「完全無限遠(パンフォーカス)」写真を作ることができるのです。
(※追記…AEブラケットでHDR合成をするケースもありますね)

ブツ撮り撮影をかじったことのある人ならご経験かと思いますが、ブツ撮りなどで手元の小さいものを撮影すると、被写界深度はとても薄くなるのです。シャッタースピードを無視して限界まで絞りを絞っても、どうしてもどこか被写界深度から外れてボケてしまうのです。個人の趣味で撮るならあまり気にすることはないですが、商品撮影の仕事などでブツ撮りをするプロの方は、クライアントから「商品の全部にフォーカスの合った写真」を要求されるわけです。あと、昆虫のマクロなどを撮影する人なども、ボケのないマクロを撮るために大変な苦労をされていると聞きます。かつては手作業で数百枚の写真を切り張りをした、なんてお話を聞いたこともありますが、Photoshopの登場でそんな苦労もせずに済むようになったそうです。しかし、Photoshopで合成するために、手動でピント位置をずらした写真を数多く撮る手間はあったわけです。
フォーカスブラケット機能は、そういった手間をカメラにお任せにできる機能なのです。

というわけで、ワタシも早速試してみることにしました。

IMG_0330.jpg

ちなみに設定はこんなカンジです。コマ数は何コマ撮影するか、ステップというのはフォーカスを移動する範囲、撮影間隔はレリーズする時間差です(ストロボなど使用するときはチャージ時間に合わせて設定します)。
ちなみに、こちらの設定に関しては、当然取り扱い説明書には書いてません。富士フイルムのWEBサイトに行って、ファームVer.4.0の説明書をDLしないとわかりません。これがたいへんわかりにくく、たいへん不親切です(笑)。
説明をキャプチャしますと、こんなカンジです。
トリセツcap

これだけです。問題なのは、「ステップ」の単位がよくわからないことです(笑)。まあ、被写界深度は撮影のたびに変わりますから、なんとも言えないとは思いますが…手探りで設定していくしかないですね。
とりあえず、今回はコマ数20、ステップ10ということでやってみたら、なんとかうまくいきました。

撮影したデータは1回につき20枚なので、その全てをお見せしてもあまり意味ないですね。とりあえず最初と最後はこんなカンジでございます。

T2185270.jpg

T2185289.jpg

この間に18枚の写真があって、計20枚の写真を、これからPhotoshopで合成するわけです。さあ大変(笑)。
ワタシはAdobe クリエイティブクラウドを利用しておりますので、PhotoshopのバージョンはPhotoshop CC 2018ということになります。Photoshopはバージョンによって表示画面などががらっと違ったりするので、バージョンをしっかり把握して操作法をググる必要があります。(フォトショ素人なので当然毎回ググるのです)
今回は、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
わかってしまえば大変カンタン。全ての写真をレイヤーとしてフォトショに取り込んで

編集 > レイヤーを自動整列
編集 > レイヤーを自動合成

コレだけです。カンタンすぎて拍子抜けするほど。難しい設定などなしで被写界深度合成写真ができあがります。
できあがった写真がこちら。

xpro2gousei
Fujifilm X-T2
XF16-55mmF2.8 R LM WR
ƒ/4.5
55.0mm
1/15
ISO4000


なんかこう、一生懸命作った割には見た目ごく普通なのがなんとも言えないんですが(笑)。
しかし、フードの先端から奥のグリップまで、しっかりフォーカスの合った写真ができあがりました。

見た目に違和感がないのは、たぶん我々の視界で見てるモノのイメージにごく近いからだと思います。人間の目は被写界深度が深いですからね。逆にいうと、一眼レフ写真がもてはやされるのは薄い被写界深度にインパクトを感じるからです。
しかし、対象物をしっかりビシッと写したいブツ撮り写真としては、これこそが欲しい結果なのです。

すっかりアジをしめて、もう1枚作ってみました。こんなカンジです。

ブラケット合成画像
Fujifilm X-T2
XF23mmF2 R WR
ƒ/2.0
23.0mm
1/8
ISO400


カンタンかんたん。Photoshopすごいです(笑)。

ただ、カンタンといえども落とし穴はあります。ワタシがやったなかでもふたつ、気をつけるべきポイントがありました。どちらもレンズに関する注意事項です。

1)XF35mmF1.4Rはフォーカスシフトに注意

愛用のレンズ、XF35mmF1.4ですが、設計が古いせいでフォーカスが移動すると微妙に画角が変わります。
もちろん、Photoshopは「レイヤーの自動整列」で画像を合わせてくれると思いますが、それによって全体がクロップされて画角が変わってしまうのはどうしようもありません。どうしてもXF35mmF1.4を使いたいなら画面に余裕をもって撮影する必要があります。

2)マクロリングは使えない

どうせマクロ撮影なんてめったにやらないし、やるんだったらマクロリング使えばいいや、とマクロレンズを処分してしまったワタシですが、ここで痛い目にあうこととなりました(笑)。
マクロリングを使った撮影は、フォーカス移動の範囲がごく狭くなるため、充分なシフト量が得られないのです。よって、フォーカスシフト撮影には使えないのです。
小さなモノをパンフォーカスで撮りたい人は、ちゃんとマクロレンズを使いましょう。

というわけで、フォーカスシフト合成でパンフォーカスブツ撮りをする実験でございました。
ご自宅でカンタンにできる作業(エドチャイナ風に)なので、X-T2をファームアップされた方は、ぜひ一度トライされてみてはいかがでしょう。